現実見据え、真に必要な改憲を 幸福実現党党首・釈量子

太陽の昇る国へ

 --都議選で都民ファーストが圧勝し、第1党となりました

 私たちは6人の候補を擁立して戦いましたが、残念ながら力及びませんでした。政策よりもスキャンダルで対立構図が作られ、帰趨(きすう)を決した選挙となりましたが、“安倍一強”が終焉(しゅうえん)しつつあるのは確かだと思います。

 潮目が変わるなか、有権者の皆さまの信頼に足る政党として力をつけていきたいと決意しています。また、今回の結果をもって、小池百合子都知事の独裁とならないよう、その動向を注視してまいりたいと思います。

 --焦点の豊洲移転問題については

 豊洲に移転するとともに、築地を再開発し市場機能を持たせるとする知事の案は、賛成派と反対派の双方に配慮した玉虫色の政策にほかなりません。小池知事は土壌汚染問題をめぐる懸念から移転を延期し、混迷を招いてきましたが、豊洲は安全です。移転延期になんら合理性はありませんし、これ以上の追加対策も不要です。

 築地は売却し、民間の力による再開発を進めるべきです。築地を売却しないとなると、豊洲整備に要した約6000億円のうち、企業債など4000億円余りが返せません。数百億円にも及ぶ豊洲への追加対策費用に加え、築地の再開発費や借金返済にも都民の血税が使われる恐れがあります。

 1日も早く豊洲に移転し、豊洲ブランドを世界にPRすることに力を注ぐべきです。さらに「公設民営」市場にするなど、民間の知恵を市場経営に取り入れ、将来的には民営化を推し進めていくべきだと考えます。

 --さて、憲法改正について、安倍晋三首相が臨時国会中に自民党としての改正案をとりまとめる考えを示しました。自衛隊明文化など4項目について自民党が検討を進めています

 衆参で改憲勢力が3分の2以上の議席を占めるなか、来年には改憲を発議する狙いがあるといわれています。

 9条改正については、安倍首相が示した、自衛隊を書き込む“加憲”こそが、最大公約数の「現実」的な案だということなのでしょう。しかしながら、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射に成功したと発表し、米本土への攻撃能力を獲得しつつある「現実」を踏まえれば、首相の案は踏み込み不足と言わざるを得ません。改憲には大きな政治的エネルギーを必要とします。その力は、国民の生命・安全を守り抜くために費やすべきではないでしょうか。私たちは防衛軍の創設、9条全面改正を堂々と訴え、政策論争に臨んでまいりたいと思います。

 --憲法改正のテーマとして、教育無償化も取り沙汰されていますが

 就学前教育や高等教育をめぐっては、各政党が無償化をうたっていますが、私たちは反対です。「骨太の方針」においても、幼児教育・保育の早期無償化が盛り込まれました。家庭の経済状況に関わらず、誰もが教育を受ける機会を保障することは大切です。しかし、憲法に明記するとなれば、義務教育と同様、世帯収入や子供の数に関係なく、一律に無償化されることになるはずです。この財源として教育国債やこども保険、消費税などが検討されていますが、負担を増加させた揚げ句、一律に無料にするのは、増税・バラマキにほかならないのではないでしょうか。

 待機児童問題が解決されないなか、就学前教育が無償化されれば、一層の保育所不足が問題となる可能性もありますし、保育の質の悪化も起こりえます。また、「高等教育の無償化」は、授業料が無料であることのみを理由に進学する人を増やし、経営状態が悪い大学を公金で延命させることにもつながります。結果、高等教育の質低下を招きかねません。教育の機会均等のための無償化というのであれば、その内容や質にも議論が及ぶべきです。

 やはり一律無償化ではなく、生活困窮家庭や学生に対し、保育・授業料の減免や奨学金の拡充、教育バウチャーなどで対応すべきと考えます。

 マルクスの『共産党宣言』では、教育の無償化が掲げられていますが、無償化を標榜(ひょうぼう)する各党は、その社会主義的な“地金”をあらわにしているとも言えるのではないでしょうか。加憲するのであれば、大きな政府にもつながる教育無償化などではなく、わが党が掲げる「小さな政府、安い税金」を目指すことを明記すべきだと思います。

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【プロフィル】釈量子

 しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。