日欧EPA交渉 チーズ一部に低関税の輸入枠 大枠合意へ政府が譲歩案
日本政府が欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)交渉で、EU産チーズの一部品目に低関税の輸入枠を設ける方向で検討していることが4日、分かった。大枠合意を目指した交渉は大詰めを迎えており、難航分野で一定の譲歩案を示し、打開に向け調整を進める。
この日は首相官邸で主要閣僚会議を開き、訪欧してEU閣僚と再協議する岸田文雄外相が交渉の現状を報告した。安倍晋三首相が早期妥結に向けた努力を指示し「農産品など守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めていかなければならない」と強調した。6日に開く日欧の首脳協議で大枠合意にこぎ着けたい考えだ。
EU側も首脳協議で「大枠合意することが期待されている」と4日表明した。
焦点の自動車分野では、EUが乗用車にかけている関税について、日本は協定発効後7年での撤廃を求める方針を最終的に固めた。EUは10年を主張しているとみられ、妥結点を探る。
チーズをめぐっては、日本は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で主要品目の関税を守りつつ、一部の参加国に対しプロセスチーズの低関税枠を設けることで合意した先例がある。EUとの交渉でも同様の決着を模索しているが、日本への輸出拡大を狙うEUはチーズ全品目の関税撤廃を要求しており、こうした妥協案で歩み寄れるかどうかは不透明だ。
岸田氏は来日したマルムストローム欧州委員(通商担当)らと1日まで2日間にわたり協議したが、重要分野の結論を先送りした。閣僚会議で日本の交渉方針を確認した上で、EU本部のあるブリュッセルでマルムストローム氏と再び交渉し、首脳同士による大枠合意の環境を整えることを目指す。
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