成長戦略 民間主導の「第4次産業革命」 規制緩和など政府の後押し鍵

 
昨年11月に千葉県の国家戦略特区で行われた都市部でのドローン宅配を想定した実証実験

 成長戦略の素案では、AIなど先端技術を使い新事業を生み出す企業を優遇する内容が盛り込まれた。自動運転などの競争領域では既に勝ち残りに向けた投資が活発で、人口減の国内でも購買や配達の自動化など生産性を向上させる活動が急だ。産業をITが変革させる「第4次産業革命」は民間主導で急速に勃興しつつあり、政府が規制緩和などで後押しできるかが鍵となる。

 AIが競争力を大きく左右するのが自動運転やロボットだ。AIは機械の司令塔であり、その性能で商品力に差が付くからだ。トヨタ自動車は自動運転の強化を目指し、AI研究に5年間で総額1000億円以上を投じる。ソニーはロボット事業への再参入を目指して米AIベンチャーに出資した。

 AIや、あらゆるものをネットワークでつなぐ「モノのインターネット(IoT)」は、人手不足が深刻な業界の仕事のあり方をも抜本的に変えつつある。

 コンビニエンスストア大手のローソンはAIを使った発注システムを導入。AIが最適な数の弁当やおにぎりなどを発注するため、人手が減らせる。カジュアル衣料品店「ユニクロ」も商品開発や在庫管理にAIを導入。ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は「将来的には店舗に顧客が来店した際、AIを使って、お薦め商品をスマートフォンに示すサービスも始めたい」と話す。

 宅配便最大手のヤマト運輸は自動運転車を使った無人配達の実証実験に取り組む。楽天は小型無人機「ドローン」を使った配送に着手した。

 製造業でも、工作機械大手ヤマザキマザックが国内2工場をIoTで一体運営することを決めるなど、先行きの労働力不足を見越して、生産性向上に対応する動きが急ピッチで広がる。

 ■企業の第4次産業革命に向けた取り組み

 【成長領域】

 トヨタ 自動運転技術強化に向け人工知能(AI)研究に昨年からの5年間で1000億円以上を投資

 ソニー 米AIベンチャーに出資しロボット事業に再参入

 楽天 ドローンを使った配送サービスに着手

 【生産性向上領域】

 ローソン AIが最適な数の弁当やおにぎりなどを発注するシステム導入

 ヤマザキマザック モノのインターネット(IoT)を活用し工作機械などの生産を効率化

 ヤマト運輸、DeNA 自動運転車を使った無人配達の実験