ドローン配送は20年代本格化 成長戦略、「移動革命」など5分野集中

 
成長戦略の主要項目

 政府は30日開いた未来投資会議(議長=安倍晋三首相)で、新たな成長戦略の素案をまとめた。ドローンによる都市部での荷物配送を2020年代に本格開始する「移動革命の実現」など、5つの戦略分野に集中投資し、「第4次産業革命」の社会普及を加速させるとした。技術革新が行き渡った社会「ソサエティー5.0」を実現し、生産性と需要が低迷する日本経済の中長期的な成長につなげる。

 成長戦略は与党と調整した上で、6月上旬に閣議決定する。

 5つの戦略分野には「健康寿命の延伸」「移動革命の実現」「サプライチェーン(供給網)の次世代化」「快適なインフラ・まちづくり」「(金融とITを融合した)フィンテック」を挙げた。

 健康寿命は、診療・介護報酬によるインセンティブ(動機付け)も組み合わせ、遠隔診療、AIを活用した医療、介護ロボットの導入などを進める。移動革命は、高速道路上で1台の有人トラックを複数の無人トラックが追いかける「隊列走行」を、22年度に商業化する。

 インフラ投資では、人手不足解消の観点も踏まえ、建設現場にICT(情報通信技術)を導入し、建設現場の生産性を25年までに2割向上させる目標を掲げた。高度なIT技術を担う人材教育の拡充や、革新的事業を育成するため法規制を一時的に適用しない新たな規制緩和制度の創設なども明記した。

 ■成長戦略の主要項目

 【健康・医療・介護】

 ・患者の基本情報や健診情報を医療機関が共有、今年度中に実証事業

 ・遠隔診療に診療報酬、経過観察など通院の負担を減らす

 ・ロボット技術で自立支援と介護者への負担を軽減

 【交通】

 ・2020年ごろに完全自動走行を市場化

 ・今年度中に走行映像や事故データの収集方針をまとめる

 ・自動走行地図の仕様を統一、来年度中に高速道路で実用化、一般道路でも整備方針をまとめる

 【インフラ・まちづくり】

 ・橋梁、トンネルなどの建設プロセスをデータ化し、25年までに建設現場の生産性を2割向上

 ・保守点検にロボットを導入し、災害対応を高度化

 ビッグデータの利活用

 ・受発注、設計、生産などのデータを企業の枠を超えて連携

 ・気象情報を電力、観光、農業などで活用し、ビジネス化

 【教育】

 ・大学で学科の縦割りを見直し、学士・修士の6年一貫教育

 ・文系理系を問わず全学的に情報技術教育を実施

 ・初等・中等教育におけるプログラミング教育の必修化

 【農林水産業】

 ・熟練農家の知識などをデータ化し、生産性を向上

 ・人工衛星などを使って森林資源の状況を把握

 ・海上に高速通信網を整備し、データを活用した漁業を実現

 【観光・スポーツ】

 ・運行情報や施設情報を組み合わせ旅行者でも迷わずに移動できる

 ・海外でのスポーツの放映権ビジネス拡大

 ・日本独自の部活動や運動会の教育効果を 海外展開