農水省、中国でパックご飯売り込み 日本のコメ、輸出拡大目指す

 

 農林水産省が、コメの輸出を拡大させようと、中国・上海の高級料理店で電子レンジで温めて食べるコメ(パックご飯)を使ったメニューを提供するキャンペーンを始めることが20日、分かった。手軽さや味のよさをアピールし、高級品として売り出すのが狙い。輸出の規制が少ないパックご飯の中国市場での定着を目指す。

 今回のキャンペーンは日本貿易振興機構(ジェトロ)と飲食店検索サイトを運営する「ぐるなび」が企画。実施店は和食・洋食や中華料理、ベトナム料理など幅広く、客単価が100~450元(約1600~7400円)の中高級店10店を選んだ。

 3月末から約2週間、各店がパックご飯を使った限定メニューを考案し、2000~3000食の消費を目指す。ジェトロの担当者は「日本食以外の食べ方も紹介し、輸出拡大を目指す」と話す。

 中国は日本の農産物に対して厳格な検疫を行っており、輸出拡大を阻む大きな要因となっている。コメは神奈川県内の農協グループの精米工場で精米したものしか認めていない。パックご飯を除いたコメの中国への輸出量は昨年375トンと香港向けの9分の1程度。金額も約1億6000万円にとどまる。

 一方、パックご飯には厳しい検疫はない。現地では中国産よりも倍以上の高値だが、日本国内の水で炊いたものであるため、味への評価は高い。

 ジェトロはコンビニチェーンや百貨店など販売店の開拓を進めており、4月以降はパッケージなどを改良した中国向け専用の新商品の本格的な取り扱いも始まるという。

 政府は2019年までに農林水産物と食品の輸出を1兆円に増やす目標を立てている。パックご飯の海外での消費が増えれば、調味料などほかの日本食品の輸出拡大にもつながると期待を寄せている。