自治体、民泊独自規制を強化 禁止や帳場義務化 新法案で増加も

 

 一般住宅を宿泊施設として活用する「民泊」をめぐり、自治体が独自規制を導入する動きが出ている。住環境への影響や住民とのトラブルを心配しているためだ。長野県軽井沢町は民泊を町内全域で認めない。今国会に提出された民泊新法案には、年間で最大180日とした営業日数を条例で短縮できる規定もあり、規制強化を検討する自治体が増えそうだ。

 政府は訪日外国人を2020年に4000万人へ増やす目標を掲げる。だが都市部や地方の観光地では宿泊施設が足りず、民泊への期待は大きい。

 軽井沢町は16年3月に「清らかな環境と善良なる風俗を守る」ため、貸別荘を除く民泊を町内全域で認めないとする町独自の基準を公表した。担当者は「別荘地という特殊な事情がある。(民泊は)町の趣旨と合わない」と説明。新法案が成立しても対応を変えないとしている。

 浅草寺がある東京都台東区は旅館業法施行条例を改正し、16年4月から民泊物件に帳場の設置を義務づけた。これによりマンションなどでの営業が事実上できなくなった。

 広島市の調査では、米民泊仲介サイトに掲載された物件の約9割が旅館業法に基づく許可を得ていないことが判明。合法の施設を利用するようホームページなどで呼び掛けた。担当者は、新法案が成立すれば「規制強化を含めて対応を考えたい」と話している。

 京都市も自治体が民泊施設を独自に規制できる仕組みづくりを要望してきた。市によると、16年4~12月に無許可営業の疑いがあると通報があったのは1004施設。そのうち半数に何らかの指導を行っているという。