韓国製品ボイコットも THAAD配備に中国が官民挙げて猛反発
【北京=藤本欣也】米軍の最新鋭迎撃システム、THAADが6月にも韓国に配備される見通しとなったことについて、中国は官民を挙げて激しく反発している。中国紙では韓国製品・韓流のボイコットを呼びかける社説が掲載されたほか、軍事的な対抗措置の発動も取り沙汰されている。中韓両国の関係悪化は決定的となった。
中国外務省の耿爽報道官は28日の記者会見で、「中国のTHAAD反対の意思は固い。国益を擁護するために必要な措置を必ず取る」とコメントした。
中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は28日付社説で、ロッテの中国市場からの閉め出しを主張しただけでなく、「韓国文化・製品の輸入制限の拡大に中国社会は協力すべきだ。必要ならば完全に遮断してもいい」と呼びかけた。
また、同日の英字紙グローバル・タイムズは、中国人民解放軍がTHAADに対抗して、韓国を標的にしたミサイルシステムを整備する可能性を指摘した。中国国防省も2月下旬、THAADに対し「軍は必要な準備を整え、国家の安全を断固として守る」(報道官)と強調している。
中国はこれまで、THAADの韓国配備に関し、(1)高性能レーダーで中国国内まで監視される(2)北朝鮮のミサイルだけでなく、中国のミサイルも無力化される恐れがある-と主張。「中国の戦略的な安全保障上の利益と、地域の戦略バランスを損なう」(外務省報道官)と反対してきた。
また、官製メディアも動員し「配備が決まれば、中国人を傷つけ、深刻な結果を招く」などと警告してきた経緯がある。中国国内ではすでに、ロッテ関連企業に対する厳しい税務調査や、韓流スターの活動規制などの影響が出ていたが、今後、「国民感情」を盾に“報復”措置が拡大する可能性が高い。ネットでは「準断交」を要求する声も上がっている。
遼寧社会科学院・朝鮮半島研究センターの呂超主任は「中韓自由貿易協定(FTA)のような大型の経済協力が中断される可能性もある」と指摘している。
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