“鉄道大国”インドで日本企業が新たな商機 「新幹線が完成すれば機運高まる」

 

 鉄道総延長6万3000キロ以上と世界4位の規模を誇る「鉄道大国」のインドで、日本企業が新たな商機を狙っている。高速鉄道計画で日本の新幹線方式の導入が決まったのを機に、在来線でも日本の高い安全技術をアピールして売り込みを図る。ただ、日本のシステムは割高とされ、安全性よりコストを優先する意識が根強いインドへの市場参入には課題も多い。

 「日本の技術がインドの鉄道産業の発展に大きく寄与できる」。昨年12月、北部ウッタルプラデシュ州ラクノーで開かれた鉄道産業の国際展示会で、平松賢司駐インド大使は自信を見せた。

 インドの業界団体が主催した展示会では、会場の半分が日本の企業や団体を対象にした「ジャパン・パビリオン」に割り当てられ、日本メーカー約35社が参加。JR東日本は新幹線の運転を体験できるシミュレーション装置を設置し、来訪者の人気を集めた。

 参加したメーカーのインド現地法人役員は「新幹線が完成すれば、日本の鉄道技術を採用しようとする機運が高まる。その市場は巨大だ」と期待をにじませる。海外鉄道推進協議会の大橋忠晴副会長(川崎重工業相談役)も「インド国内で鉄道に対する熱意は高まっている。日本が貢献できる余地は大きい」と話す。

 一方、インドでは鉄道設備の老朽化や整備不良による事故が多発している。昨年11月にもウッタルプラデシュ州内で急行列車が脱線し、140人以上が死亡する事故が起きたばかり。現地紙の報道などによると、線路を横断中の事故も含めた鉄道関係の死者は年間2万人に上るとも言われる。

 展示会に日本から参加したメーカーの担当者は「インドと日本では安全への意識に大きな差がある。インドで日本の鉄道技術を活用するには、安全面での教育支援といった後方支援も必要だ」と話し、インフラ整備を推進するだけでは不十分との見方を示した。(ラクノー 共同)