総務省、マイナンバー監督強化で改正案 機構へ命令、立ち入り検査

 
地方公共団体情報システム機構に関する法改正骨子

 マイナンバーカードの発行を担う地方公共団体情報システム機構でシステム障害が相次いだ問題を受けて、政府が検討していた機構の統治強化のためのマイナンバー法など関連3法の改正案の概要が18日、分かった。マイナンバーカードの発行遅れなど事務処理のミスが機構で起きた場合、総務省が機構に監督命令や立ち入り検査できるようにする。高市早苗総務相が昨年12月に法改正の方針を表明していた。20日召集の通常国会に改正案を提出し、7月までの施行を目指す。

 政府は7月から、国の機関や都道府県、市町村が持つ納税や年金などの情報をマイナンバーで結び付ける情報連携を始める。2018年度以降は、健康保険証とマイナンバーカードの一体化も進める方針で、機構のマイナンバーに関する事務処理が今後も増えることに伴いトラブルやミスの増加も懸念される。このため、政府は情報連携が始まる前の改正案の成立を目指す。

 政府が提出するのはマイナンバー法、地方公共団体情報システム機構法、住民基本台帳法の一部改正案。

 マイナンバー法の改正では、総務省が外部から機構を監督、指導できるようにする。機構に対して、カードの発行や省庁間の情報連携などマイナンバー関連事務で報告書の作成や公表を義務付ける。事務で不備があった場合は総務相が監督命令や報告要求、立ち入り検査できる規定を新たに盛り込んだ。報告要求や立ち入り検査に応じない場合は30万円以下の罰金も科す。

 機構法の改正では、機構内部で執行部の統治強化を図る。具体的には執行部の監督や任命、解任などができる機構代表者会議の権限を強化し、理事長に対する是正措置命令や役員を解任できる事由を拡大する。

 これまではシステム障害など機構の内部事務と直接関係しない事案については、代表者会議は処分できる権限がなかった。これを改め、内部事務以外のマイナンバー関連事務に関して措置命令などを出せるようにする。また、機構内に個人情報保護などマイナンバーの情報漏洩(ろうえい)を監視する有識者会議を設置する。

 番号通知カードの印刷漏れなど、同カードの配達が始まった15年10月以降の一連のマイナンバー関連のミスに関して、総務省は「機構は機構法に基づき、地方自治体が共同で設立しており、(法律上の)権限はない」(高市総務相)との立場で、無責任との批判も受けてきた。今回の法改正によって機構の統治の在り方や監督の責任の所在が明確となることで、総務省のマイナンバー行政にはより厳しい視線が注がれそうだ。