民泊サービス、届け出制へ 通常国会に新法案 苦情対応など義務付け
一般住宅を宿泊施設として活用する「民泊」に関して、政府が来年の通常国会に提出を予定している新法案の概要が28日、分かった。民泊サービスを行う家主を都道府県への届け出制とし、新規参入を促す。近隣とのトラブルを防止するため、苦情への対応を義務付けるなど宿泊事業者としての責任を明確化するが、実効性が課題となりそうだ。年間営業日数は180日以内とし、自治体の条例で制限できる仕組みを検討する。
民泊は、外国人旅行者の増加に伴う宿泊施設の確保策として、4月から旅館業法に基づく許可制の形で解禁した。ただ、住居専用地域では原則営業できず、耐火基準や避難経路確保など規制も厳しいことから、無許可営業が蔓延(まんえん)している。
このため、新法案では、手続きが簡素な届け出制とし、住居専用地域での営業を認めるなど参入要件を緩和する一方、行政側が業者を把握、監督できる仕組みとする。
施設に同居する家主に対し、苦情対応に加え、最低限の衛生管理や宿泊者名簿の作成などを義務付け、悪質な業者の排除を目指す。家主が不在のケースは国土交通省に登録した施設管理者を置き、家主が同居する場合と同様の責任を負わせる。
インターネットなどの仲介業者は観光庁への登録制とし、利用者への契約内容の説明などを義務付ける。
営業日数に関しては、既存の宿泊施設に配慮して180日を実際に泊まった日数とするか、予約可能な日数とするかなどで調整している。ホテルや旅館の業界関係者は日数制限を求める一方、不動産業界などは上限設定に反対していた。
民泊の新法案をめぐっては、厚生労働省や国交省などの有識者会議が6月に報告書を取りまとめた。
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