政府、月内に3次補正 7年ぶり税収減で赤字国債発行へ

 

 政府が月内に平成28年度第3次補正予算案を編成し、歳入不足を補うため赤字国債を発行する方向で調整していることが2日、分かった。28年度の税収が当初見通しを下回る見込みとなったため。第2次安倍晋三政権は財政健全化を目的に国債発行を抑制しており、年度途中に赤字国債を追加発行するのは、リーマン・ショックで税収が落ち込んだ21年度以来、7年ぶりになる。

 政府は28年度の税収を当初見積もりで57兆6千億円としていた。ただ、年明け以降の円高で企業収益が低迷し、法人税などの税収が落ち込んだ。

 このため政府は、税収見通しを下方修正する。修正幅は足元の円安傾向なども踏まえて判断するが、1兆円台後半になる可能性がある。政府は3次補正予算案で赤字国債を発行し、歳入不足を補う方向だ。歳出には景気対策を盛り込まず、北朝鮮の弾道ミサイルを念頭に置いたミサイル防衛(MD)関連や、災害復旧など必要最小限のものを計上する見込みだ。

 国の税収は近年、安倍政権の経済政策「アベノミクス」を背景に増加が続き、政府は上ぶれ分を景気対策などの財源にあててきた。だが税収の頭打ちが鮮明になれば、今後の財政運営は見直しを迫られる恐れがある。

 編成作業が進む29年度予算案についても、税収が伸び悩むことから赤字国債を増発し、22年度以来7年ぶりに新規国債発行額が前年度から増える懸念もある。