安倍首相、北方領土「簡単ではない」 日露首脳会談、経済協力など確認

 

 安倍晋三首相は19日午後(日本時間20日午前)、プーチン・ロシア大統領とペルーの首都リマで会談した。北方領土問題を含む平和条約締結交渉をめぐり協議。首相は会談後、記者団に「解決へ道筋が見えてはいるが、簡単ではない。着実に一歩一歩前進していきたい」と述べた。会談で両首脳は、対露経済協力の具体化案を確認。山口県長門市での12月15日の会談に続き、翌16日に東京で経済関係を中心に再会談することでも一致した。領土交渉は大詰めを迎えた。

 今回の会談は、首相が掲げる「新しいアプローチ」に基づき、プーチン氏来日への準備状況を話し合う最後の機会。領土問題進展のため、プーチン氏から今後、どこまで柔軟姿勢を引き出せるかが焦点となる。

 会談は約1時間10分で、うち約35分間は通訳を除き両首脳2人だけで行われた。

 会談後、首相は「経済協力8項目について具体的な進捗(しんちょく)を確認し、12月の会談に向けて、いい話し合いができた」と強調した。2人だけの会談については「腹蔵ない意見交換を行うことができ、意義があった」と述べた。具体的内容は明らかにしなかった。

 会談で首相は、平和条約締結交渉に関し「9月の会談で真剣に話し合った結果を受け、2カ月半の間、私もさらに考えを深めてきた」と伝えた。同行筋は「2人だけで北方領土問題を中心に話した」と明かしており、突っ込んだやりとりをした可能性がある。

 会談には世耕弘成ロシア経済分野協力担当相(経済産業相)が同席し、首相が5月の首脳会談で提示した8項目の経済協力案をめぐり、両政府が合意した作業計画を説明した。プーチン氏は「日露の経済関係を前進させるためには、いい計画だ」と評価した。(リマ 共同)