TPP承認案が衆院通過 今国会成立公算も米動向不透明 野党の山本有二農水相不信任案は否決
衆院は10日の本会議で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案の採決を行い、与党と日本維新の会などの賛成多数で可決した。衆院通過を受け、参院では11日の本会議で審議入りすることになっており、今国会で成立する公算だ。
政府・与党は成立を確実にするため、憲法の規定で参院の承認がなくても30日後に自然成立する「30日ルール」の適用を視野に、30日までの会期の延長を検討している。
TPPの発効には、経済規模の大きい日米の承認が必要となる。次期米大統領に決まったドナルド・トランプ氏がTPP反対を明言しており、発効は見通せていない。菅義偉官房長官は記者会見で「オバマ米大統領も本年中の米議会通過に向けて全力で取り組んでいる。責任を持って対応するだろう」と強調した。
承認案の採決に先立ち、民進、共産、自由、社民の野党4党は、承認案の強行採決に言及した自身の発言を「冗談」とした山本有二農林水産相の不信任決議案を提出したが、与党などの反対多数で否決された。
民進党は承認案の反対討論を行った上で、自由、社民両党とともに退席し、共産党は出席して反対した。
安倍晋三政権が成長戦略の柱に位置付けるTPPは、太平洋周辺地域の関税撤廃や規制緩和、投資などのルールを決めた包括的な経済連携協定で、日米など12カ国が参加。発効すれば、世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める巨大経済圏となる。
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