人民元SDR入り 日本政府、表向きは容認も…市場・為替の自由化にピリピリ
1日に国際通貨基金(IMF)が人民元を特別引き出し権(SDR)の構成通貨としたことについて、日本政府は表向き容認する姿勢を示している。ただ、中国が本当に金融・資本市場の改革を進められるかは不透明で、政府は動向を注視していく構えだ。
「中国のマーケット、為替、そういった通貨の管理をきちんとオープンにしてもらわないといけない」
麻生太郎財務相は9月30日の記者会見で、こうクギを刺した。
中国政府による為替市場の完全な自由化は実現しておらず、依然として閉鎖的だ。足元では人民元が対ドルで安値水準にある。輸出を増やすため、当局が人民元の下落を容認しているのではないかとの見方は少なくない。
SDRの構成通貨に人民元が入ったことで、IMF加盟国が外貨準備として人民元の保有を増やすケースも想定されている。ただ、日本政府は、人民元の保有を増やさない見込みだ。
民主党(現・民進党)政権下の2011年には、日中両政府は日本側が人民元建ての中国国債を購入することで合意した。
しかしその後、日本政府による尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化などをめぐって、関係が悪化。購入の手続きは停滞したままになっている。
財務省関係者は「(人民元が)構成通貨になったからといって、日本が元建ての国債を持っていなければならない、ということではない」と話す。
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