英国、移民対策で壁の建設表明 フランス北部の港町カレーに再び急増
【ベルリン=宮下日出男】英国を目指す移民や難民が集まるフランス北部の港町、カレーにあるキャンプをめぐり、英仏両国が対策強化に乗り出した。キャンプは今年、一部が撤去されるなどしたが、移民らが再び急増。英側は港周辺に新たな壁を建設すると表明し、仏もキャンプ撤去などを進める考えだ。対応次第では現地で緊張が増す可能性がある。
英国のグッドウィル移民担当相は7日、「これまではフェンスをつくってきたが、今度は壁だ」と語り、近く建設を始めると明らかにした。計画では壁は高さ約4メートル、長さ約1キロで、仏側との合意に基づき英側が資金を負担して年内完成を目指す。
移民らは英仏海峡をフェリーや海底トンネルで渡るトラックに潜り込んで渡英を図る。港への道路にはフェンスもあるが、ロイター通信によると、今回はコンクリートも使って壁を建設し、増強する方針という。
「ジャングル」と呼ばれるカレーのキャンプをめぐっては、仏側が移民らを国内の他の収容所に移したり、一部を撤去したりして対策を進めてきた。だが、キャンプの移民らは夏ごろから急増。当局によると、8月時点で過去最大規模の約7千人に上り、支援団体は約9千人と見積もる。イタリアなどからの流入が増えているためとみられる。
地元では移民らが車両に乗り込むために強引な手口を使うことも問題化。壁建設の効果に懐疑的な見方も強く、5日には地元運送業者や農家らが道路を封鎖して閉鎖を求めた。
仏側ではカズヌーブ内相が2日に現地視察し、警官を現行の1900人から200人増員するほか、「可能な限り迅速」に撤去を目指す意向を示した。一方で具体的計画は示さず段階的に進めるとしており、対応に苦慮している。
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