ロッテ創業者長男を取り調べ ソウル地検、横領などの疑惑で

 

 ロッテグループの裏金捻出や会社資金横領などの疑惑をめぐり、創業者の重光武雄(韓国名・辛格浩)氏(93)の長男、宏之(同・辛東主)氏(62)が1日、ソウル中央地検の取り調べを受けるため、同地検に出頭した。一連の疑惑をめぐる創業者一家への捜査が本格化する。

 聯合ニュースによると、宏之氏はグループ系列のロッテ建設やホテルロッテなど数社に理事として名を連ね、実際には働いていないのに約400億ウォン(約37億円)の報酬を受け取ったとして、横領などの疑いが持たれている。地検では記者団の質問に一切答えず、無言で庁舎に入った。

 ロッテグループでは昨年、武雄氏の次男で会長の昭夫(同・辛東彬)氏(61)と、宏之氏の間で経営権争いが勃発し、グループ各社による巨額の裏金疑惑が浮上、検察が捜査を進めている。経営幹部らに対する調べを進めて現金の流れをつかんだ上で、9月中旬にも昭夫氏の事情聴取に乗り出すとの見方が出ている。

 検察は8月31日、一連の疑惑とは別にロッテ免税店への出店希望業者から便宜を頼まれ不正資金を個人的に受け取ったとして背任収財などの罪で起訴された武雄氏の長女、辛英子被告(73)を、新たに贈与税をめぐる脱税疑惑で聴取した。武雄氏が辛被告らにグループ会社株式を譲渡した際、約6000億ウォン(約550億円)の支払いを免れた疑惑が浮上している。

 捜査をめぐっては、経営を統括する政策本部長を務めた李仁源副会長が8月26日、事情聴取を受ける直前に自殺した。(ソウル 共同)