G20で中国、経済の議題を乱発 南シナ海など波及防止に躍起 成長鈍化で発言力低下も

 

 【上海=河崎真澄】中国浙江省杭州で9月4、5の両日、日米欧に新興国を加えた20カ国・地域(G20)の首脳会議が開かれる。初の議長国を務める中国は、「主題はあくまで経済成長だ」(李保東外務次官)と強調。中国が南シナ海などで引き起こした対外摩擦に議論が波及しないよう警戒している。だが世界の牽引役を自負した中国経済は成長の鈍化も著しく、発言力は低下する一方だ。

 中国はG20首脳会議で(1)世界経済の持続可能な成長(2)構造改革(3)貿易と投資の推進(4)国際金融の枠組み強化-を主要議題に挙げている。29日には国際金融デジタル化と情報共有の枠組みなど、新たに3つの提案を行う方針も表明。関心を経済問題に集中させようと躍起になっている。

 鉄鋼の生産過剰が批判を浴びる中、中国にとって痛みも伴うリストラなど構造改革も共同声明に盛り込むことで、外交問題や安全保障から国際社会の目をそらす思惑もちらついている。

 ただ、中国の対外戦略は逆風にさらされている。仲裁裁判所が裁定で南シナ海での中国の主権主張を退け、日米やアジア諸国などが圧力を強めた。在韓米軍への地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備決定でも対立が深まり、メイ英政権は中国企業の原発建設参加に懸念を表明した。

 習近平国家主席が議長の立場を忘れて自国の主張に固執すれば、国際社会の反発が一段と強まる事態も考えられる。