富士通に損害賠償請求へ マイナンバー障害 機構、7カ月後ようやく

 

 マイナンバーカードを発行する地方公共団体情報システム機構は28日、欠陥サーバーのプログラムミスによるシステム障害で国民への交付が滞る契約違反があったとして、サーバーを納品した富士通に損害賠償を求める方針を固めた。機構関係者が明らかにした。機構は責任回避のため賠償請求に及び腰だったが、1月の制度開始から7カ月が経過しても障害の余波で交付が遅滞するずさんな運営が露呈し方針転換に追い込まれた。賠償金は障害対応を余儀なくされた交付窓口の自治体支援に活用する。

 関係者によると、機構は今月上旬、障害対応に伴う機構・自治体職員の人件費増加分など総被害額の算定作業を開始。9月に請求額を決めて富士通側と交渉する。富士通を含めた5社は平成26年、マイナンバー制度を運用する中継サーバーなどの設計・開発を約69億円で機構から受注。「成果物に瑕疵(かし)があるときは、機構が修補に併せて契約金額を限度として損害賠償を請求することができる」とする契約を締結していた。

 富士通は損害賠償の適否について「答える立場にない」としている。

 機構は今年1月22日、中継サーバーのシステム障害を受け「契約上の望んだ機能がない」と富士通に抗議。機構は失敗を取り繕うため、同機種サーバー3台を追加導入したが、いずれのサーバーにも障害が発生するなど場当たり的な対応に終始した。

 このため、自治体窓口では1月以降、カード交付時にデータ処理を行う機構の中継サーバー障害が約2カ月にわたり1日に1回のペースで発生。本来不要の再起動が50回以上も繰り返された。このほか大規模な障害が6回も発生したため、処理ができず申請者にカードを手渡せないケースが続発した。滞ったカード交付を促そうと休日の窓口開設を決めた自治体もあった。

 結局、27年度は1019万人の申請に対し、約2割の227万枚しか交付できなかった。さらに今年8月1日までに累計1093万人の申請があったが、障害が尾を引いて703万枚の交付にとどまり、300万人超が受け取れなかった。