英EU離脱 外相「日英関係の維持、強化に努力」

 

 政府は24日、英国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利したのを受け、為替安定や株安対策など経済面の混乱回避へ全力を挙げた。外交面でも日米英など先進7カ国(G7)の結束を確認し、影響を最小限に抑えたい意向だ。岸田文雄外相は「日本の国益の観点から適切に対応する」との談話を発表した。

 菅義偉官房長官はキャメロン英首相の辞意表明に関し、札幌市で記者団に「具体的にどんな動きになるか見極める必要がある」と述べるにとどめた。英国のEU離脱については「金融、為替が全体のリスクになることを懸念している。関係国と連携し、しっかり対応していきたい」と語った。

 岸田氏の談話は、日英が基本的価値観を共有するとして「英国との関係の維持、強化に努める」と強調した。杉山晋輔外務事務次官は「離脱が国際政治に与える悪影響を最小限にする外交努力が必要だ」と外務省で記者団に語った。政府は29日から杉山氏をロンドンやブリュッセルのEU本部に派遣する方針だ。

 日英両政府は1月、東京で開いた外務・防衛閣僚協議(2プラス2)で、南シナ海問題で中国に自制を求める共同声明を発表し、安全保障面での協力も確認した。外務省幹部は「英国のEU離脱が、海洋進出を進める中国を利することになりかねない」と懸念した。