中国GDP、7%割れにも懐疑の目 電力消費も落ち込み 「世界の市場」への失望感増す
【上海=河崎真澄】世界経済にとって最大級のリスク要因となっている中国の景気動向がさらに不透明感を増した。四半期ベースで前年同期比GDP成長率を実質で6年半ぶりの7・0%割れの6・9%と発表したが、「この数字はなお政治的だ」と懐疑的にみる市場関係者も少なくない。
GDP統計と同時発表された9月の発電量は前年同月比3・1%マイナスだった。省エネ技術が進んだとはいえ、製造業など産業を支える電力消費の落ち込みは、経済活動から力強さが削がれ始めたことを示唆している。輸入が単月ベースで20%以上も落ち込んでいる中で、「世界の工場」から「世界の市場」へと進化するはずだった中国経済への待は失望に変わった。
中国国家統計局の盛来運報道官は19日の記者会見の席上、「世界経済の変調で貿易が伸び悩んだほか、国内の構造改革がなお進行中なことなどが理由」と成長鈍化の理由を説明した。
市場では「6・8%」を事前予想する声が多かったほか、26日から始まる中国共産党による「第18期中央委員会第5回総会(5中総会)」前後に、緊急の景気刺激策が打ち出されるのではないかとの期待も広がって株式市場は買われた。
19日午前の上海総合指数は前週末終値比で0・5%上げて、節目の3400台を維持した。高度成長を求めず、成長鈍化路線にギアダウンするとの習近平指導部による「新常態(ニューノーマル)」宣言の本気度を示したGDP統計を、期待感を込めて好意的に受け止めた。ただ、都市部を中心に発展した中国経済の成長余地は小さく、国際競争力も低下した。高齢化で潜在的な成長力も落ち始めている。今後、不良債権問題のコントロールを誤れば金融機関や企業の経営破綻が増え、雇用情勢も悪化する懸念がある。中国経済の低迷は日本を含む国際社会の経済が打撃を受ける。中国の景気動向から片時も目を離せなくなってきた。
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