中国で売れる奇妙な髪飾り すごい違和感…なぜこんなものが流行るのか

 

 中国で、奇妙な髪飾りが今夏ごろから相次いで流行している。植物の芽や花を頭髪に取り付け、まるで頭から発芽しているように見える「プチフラワー」や、目玉焼き、鶏肉の手羽先、ギョーザといった料理を頭に乗せるものなどだ。

 何とも違和感たっぷりで、いくら何でも「品がない」との声も国内で上がるが、老若男女を問わず人気があるという。頭にプチフラワーを挿していると「Wi-Fiを感知できる」との噂までインターネット上で流れる始末。なぜこんなものが流行しているのか。

 頭から発芽?

 中国紙の人民網日本語版が伝えたところなどによると、プチフラワーが流行しているのは中国西南部四川省の成都市など。カイワレダイコンのようなフタバをはじめ、ハス、サクラなどもあり合計で100種類はある。プラスチック製が一般的で、ピンどめのように根元を髪にとめるようにできている。

 アンテナのようにも見えるが、やや遠くからは、頭から植物が発芽し伸びているようにも見える。地元では「豆芽花」とも呼ばれているという。

 市内の観光スポットにある露天商などがこの商品を販売。当初は観光スポットのみで見られたが、徐々に浸透し、大通りから小さな路地に至るまでさまざまな所で見られ、成都全体に拡大した。若い女性だけでなく男性や小さな子供にも人気があり、四川省全域から南部の福建省、中部の河南省、北東部の北京や吉林省などにも広がりつつある。

 肉食料理の数々

 一方、料理の髪飾りは北京などで流行しつつある。流行がやや先行しているプチフラワーについて「もう時代遅れだ」と話す若者もいるのだとか。こちらの髪飾りもプラスチックなどでできている。

 飾る料理は、目玉焼き、ギョーザ、スペアリブ、手羽先のほか、ソーセージ、焼きエビ、豚の角煮など。こうした料理の傾向から「肉食系髪」と呼ばれることがある。ただ、実際には「肉食系」だけではなく、ブロッコリー、トウモロコシなどの野菜もある。

 中国国内では「おもしろい」「おしゃれだ」などの意見がある一方で「レストランの食品サンプルをそのまま頭に乗せたようなものだ」と批判的な意見もあるという。

 目立ちたい?

 地元メディアの報道によると、プチフラワーは、ヒツジをモデルにした中国の国産アニメ「喜羊羊(シーヤンヤン)」の主人公が考え事をする際に頭から葉を生やすという描写があり、これをヒントにしたとの説が有力だ。ただ、一部のネットユーザーからは、2001年(平成13年)に発売され、人気を集めた任天堂のゲームキャラクター「ピクミン」をヒントにしているのでは、との声もある。ネット上では「プチフラワーをつけているとWi-Fiを感知できる」とする噂も流れている。

 肉食料理を髪飾りに使う由来ははっきりしないが、「だれもが髪飾りとして想像しないような奇抜なものを使うことで、目立ちたいと思っている人のニーズに合ったのではないか」と分析する人もいる。最近ではさらにエスカレートして、ゴキブリの髪飾りまでも登場しているという。

 「品がない」の声も

 こうした奇妙な髪飾りの流行について、現地の男性は中国メディアの取材に対し「人がつけているのを見てすぐに買い求めた。すごく面白い。自分の頭につけるととてもかわいらしい」と興味津々で語った。

 一方、別の男性は「このような髪飾りは幼稚だ。中年男性がつけているのを見ると何ともやるせない気持ちになる」とコメント。さらに別の70代男性は「昔は頭に草を挿すのは奴隷になるという意味があった」とし、「何も知らずに何でも頭に付けるのは品がない」と批判している。

 ちなみに、値段はプチフラワーが1点3~5元(約57~95円)程度、料理の髪飾りは1点8~12元(152~228円)程度だが、成都などでは大量に買う人がいるなど「爆売れ」しているらしく、露天商たちは1日数百元を売り上げているという。