「リーフ」のモーターを搭載
運転席に収まりスタートボタンを押すと“ひっそり”と起動する。アクセルを踏むと音を立てずにスーッと発車。発進時から最大トルクを発揮するモーターは、最初のひと踏みから力強い。モーターは日産を代表するEV「リーフ」と同型(EM57)のもので、最高出力80kW(109PS)、最大トルク254N・m(25.9kgfm)を発揮する。ノートe-POWERなら1.2トンのボディでリーフの走りの一端を味わうことができるというわけだ。
日産本社周辺を軽く走ってから高速道路に合流し、ドライブモードをノーマルからSモード(=スポーツモード)に切り替える。モーター出力が明らかに増幅してレスポンスが鋭くなり、再加速や追い越し車線への合流もとてもスムーズ。小型車にありがちなパワー不足を感じないどころか、むしろ驚くほど軽やかに走る。テレビCMで矢沢永吉さんが思わず「攻めるねぇ、ニッスァーン」と唸るのもうなずける。ノーマル時にややフワフワ感があったハンドルも、Sモードだとキュッとシャープに操舵感が増す印象で、高速走行時も全く不安はなかった。ファミリー層を中心に人気のコンパクトカーにしては足回りを硬めに仕上げているが、道路の継ぎ目やバンプで不快に跳ねるようなこともない。
e-POWERが実際に発電を行う場面は急加速時や登坂時、またバッテリー残量が少ないときだ。横浜横須賀道路(通称・横横)を高速走行しているときもエンジンが稼働していたのだが、充電中のエンジン音はほとんど気にならない大きさだった。一定の低い回転数を保ちながら効率よく発電しているので、むしろロードノイズや風切り音にかき消されてしまう。ちなみに減速時や降坂時にも回生ブレーキで発電してバッテリー充電を行う。
加速も減速もペダル1本
筆者にとって一番印象的だったのは(3)の「新感覚の運転操作」だった。これはアクセルペダル1本で加減速を行える「e-POWERドライブ」というワンペダル操作だ。ドライブモードをエコモードかSモードを選択中にアクセルペダルを戻すだけで、エンジンブレーキの約3倍の力で減速する。最初は慣れが必要だが、感覚さえつかめばアクセルとブレーキペダルの踏みかえ回数が減るのでとても便利だ。高速走行中にペダルをぱっと離しても急ブレーキがかかるようなことはないので、ご安心を。もちろん、減速が間に合わないときや緊急ブレーキを要するときはフットブレーキを使うように! ノーマルモードの時は、アクセルペダルを離した時の減速具合は他のクルマと大きく変わらなかった。