【CAのここだけの話♪】〈旅慣れて見える人〉意外にも機内では…

 

 今回からSankeiBizでスタートした新企画、客室乗務員(CA)による「ここだけ」の話。

 第一回はCAの副業をサポートする株式会社AirSol(エアソル)代表でフランスの航空会社のCAでもある私、片山裕子がお送りします。

 エアソルを立ち上げてから、ビジネスマンと接する機会が増え、CAだけを生業としていた時には聞かれなかった、こんな質問をよくされるようになりました。

 「CAさんから見て、旅慣れているなと思うのはどんな人?」

 「どうすれば機内でかっこいい振る舞いができる?」

 質問の意図を聞いてみると、乗り慣れていないとどう振る舞っていいのかわからない、なんとなくCAさんの前で格好つけたい、とか(笑)。

 人前でかっこよく振舞いたいという男性らしい質問だなぁ、と思いました。

 CAから見て、「旅慣れて見える素敵なビジネスマン」の特徴を3つご紹介します。

▽機内でよく寝る人

 それだけ??と思われるかもしれませんが、特にファーストクラスのお客様の多くは、食事も取らずにただひたすら寝ていらっしゃいます。

 出張先で最高のパフォーマンスを上げるために、機内で身体を休めているのでしょう。色々とサービスをお願いしている方に比べて旅慣れている印象を受けます。

 また、時差調整のためにもおすすめです。

 夜の到着時間に合わせて時差調整のために起きていらっしゃる方も多くいますが、どの時間帯の到着であっても、機内では睡眠を取った方が調整しやすいです。

 到着後に現地で眠れなくなると思われるかもしれませんが、気圧の関係やエンジン音の影響を受けて、身体は完全には休めていません。時差調整のために無理して起きていると、逆に身体が覚醒して寝付けなくなってしまう事も。 

 飛行機に乗り慣れている人は、このリズムを体感で覚えているので、機内で寝ているのだと思います。

 もちろん、どのクラスでも言えるお話です! 旅慣れている人は、エコノミークラスでも上手に居心地のよいポジションを見つけて眠っています。

 人気の通路側ではなくあえて窓側のお席を選ぶことによってもたれかかる人もいれば、私のように体育座りをすると落ち着くという人も。身体の大きさも人それぞれなので、ご自宅で事前に座り方を研究してみるのもいいかもしれませんね。ネックピローやアイマスクなど、グッズを活用するのもおすすめです。

 機内で眠るだけで、旅慣れたビジネスマンに見えますし、もちろん出張先での体調管理にもつながる、おすすめの過ごし方です。

▽タイミングを見てお声がけできる人

 これは機内だけではなく、レストランでの振る舞いにも通ずるものですが、タイミングを見てお声がけをしてくださるお客様は素敵だな、と思います。

 例えば、お食事のサービス中に遠くから「すみませーん!」と声をかけられる事があります。順番にサービスをしている最中なので、他のお客様の事を考えていないわがままな行動に見えてしまいます。

 また、この場合「毛布もう一枚ください」などのサービス中の内容とは別の事なので、うっかり忘れてしまうことが多々あります。

先日私が接客させていただいたお客様で、とてもよくわかってくださっているな、と思った対応があります。

 飲み物のオーダーを伺った時に、「後で結構なのですが、毛布もう一枚頂けますか?」といういつものパターン。「急いでないので、落ち着かれたタイミングでいいですからね。」この追加の一言が刺さりました。

 忙しいのをすべて理解しているので、自分のタイミングが来た時にお願いしたいことを伝えつつ、相手への思いやりも忘れない姿勢は素敵だな、と思いました。こちらもうっかり毛布を渡し忘れることがありません。 

 機内だけでなく、レストランでも、私は男性の呼び止め方は気になって見てしまいます。

▽目を見て笑顔で話せる人

 恥ずかしがり屋の多い日本人には、目を見て笑顔で話せる人が少ないように感じます。一方欧米諸国では、目をみることはマナーとなっている国が多くあります。

 そのため、さらりとこの対応が出来るお客様をお見かけすると、海外に行き慣れている方なのかなと思います。

 きちんと目を見てお話をすれば、相手の状況もよくわかりタイミングがつかめますし、笑顔も思いやりの一つだと思います。

いかがでしょうか?

 旅慣れて見える素敵なビジネスマンとは、仕事の出来る人や感じの良い人の特徴と結局のところ通ずるのかもしれませんね。

 「ここだけ」の話、忙しい機内では、手間のかからない優しいお客様がCAからは素敵に見えるという本音とお願いです(笑)。

【プロフィル】片山裕子

 かたやま・ゆうこ 上智大学文学部新聞学科卒業後、日系の宝飾会社勤務。幼少期にベルギーで育った経験と大学時代のフランス留学経験を活かし、現在も勤務するフランスの航空会社にCAとして転職。2015年10月株式会社AirSolを立ち上げ代表取締役に就任。旅とワインが好きで、ソムリエ資格も持っている。

 このコーナーはエアソルに登録している外資系CAが持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。内容は随時更新します。エアソルはPR、商品開発、通訳、現地リサーチ、ライター業務等、現役CAの特性を活かせるお仕事を副業としてご紹介しています。