どうせならカッコいい小型車に乗りませんか? フランスで一番売れているルノー・ルーテシア
ルノー・ジャポンが1月下旬、都内で新型「トゥインゴ」と「ルーテシア」のメディア向け試乗会を行った。今回は先に、内外装に磨きをかけてカッコよく生まれ変わった小型車のルーテシアから紹介する。昨年、フランスで一番売れた人気コンパクトの気になる走りは?(文・大竹信生 写真・瀧誠四郎)
フランスで一番売れているクルマ
ルーテシアは2016年に本国フランスで販売台数1位を記録したルノーの主力小型車。昨年は欧州のBセグメント(小型車)市場においても最も売れてたクルマであり、マーケット全体で見てもVW・ゴルフに次いで欧州で2番目の販売台数を誇る超人気車種だ。日本では初代からルーテシアの名前を使用しているが、海外ではクリオ(Clio、のちにCLIO)として親しまれてきた。
今回試乗したのは、装備が充実した最上級モデルの「ルーテシア インテンス」。ボディサイズは全長4095ミリ×全幅1750ミリ×全高1445ミリで、トヨタ・アクアや日産・ノートを一回り大きくさせたくらいのサイズ感だ。パワーユニットは1.2リッター直4ガソリンターボエンジンを6速EDCと組み合わせており、最高出力87kW(118ps)/5000rpm、最大トルクは205Nm(20.9kgm)/2000rpmを発生する。車両価格は税込みで229万円だ。
現行モデルが4代目となるルーテシアは2013年に日本に導入された。今回は日本発売3年目にして一部グレードにフルLEDのヘッドランプを採用するなど、デザイン面を中心にマイナーチェンジを施している。特にインテンスはテールランプもLED化し、内装色をボディカラーに合わせて3色から選べるよう設定した。
見た目はワイルド系に?
フロントはバンパー形状を横方向に広がるデザインに変更することで、車体がよりワイドに見えるように工夫。ヘッドランプに「C型」のLEDライトを組み合わせており、改良前と比べて “強面”に生まれ変わった。試乗車のボディカラーは「ルージュ・ドゥ・フランス」と名付けられた深みのある赤色。内装色は赤と黒のツートーンだ。ファブリックとレザー調を組み合わせたシートも赤×黒で内装にマッチさせていて、とてもオシャレだ。
さて、エンジンをかけてみよう。お台場の駐車場を撮影に使用できるということだったので、カメラマンの瀧さんとレインボーブリッジ方面を目指して、東京タワーの隣にある芝公園を出発した。
まずはアクセルとブレーキを踏んだ感触だが、走り出しはとても滑らかで、もたつく感じは全くない。ドライバーが予測した力加減でイメージ通りに加速するし、減速もまた然り。2年前に試乗したルノーの「メガーヌ ハッチバックGTライン」や「メガーヌR.S.」は、こちらがクルマに慣れるまで加速・減速時の感覚に多少のズレがあったが、ルーテシアにはそのような違和感は最初からなかった。デュアルクラッチを採用したトランスミッションもとても滑らかだ。
運転が楽しくなるクルマ
高速道に合流する。芝公園-台場間は距離が短いこともあってバンバンとスピードを上げる場面はなかったが、トルクの太さやパワーの余裕は伝わってきた。足回りはやや硬い味付け。運転していて楽しく頼もしいソリッド感があるが、かといって硬すぎもしないので乗り心地は損なわれていない。道路の凹凸や継ぎ目は気持ちがいいほど上手に捌いていく。このしなやかさを出すバランスの取り方は実に絶妙だと感じた。運転していてとても清々しい。
シートは想像していたよりもコシがあり、上半身や太ももをしっかりとサポートしてくれる。体にぴたりとフィットする形状なので運転に集中しやすく、ロングドライブでも疲れにくそうだ。ハンドリングはかなり切れがある。狙ったラインをぴたりとトレースしてくれるので、クルマを意のままに操っている感覚に溢れ、運転していて安心感がある。試乗を通してドライバーとクルマに強い一体感を覚えたのはルーテシアの大きな魅力の一つだ。昔イギリスで乗った「ルノー19」や「プジョー406」、スペインでレンタカーした「シトロエンC5」はもっとふわふわとした軟らかい印象を受けたが、フランス車もだんだんと性格や味付けが変わってきているのかもしれない。
日本車に囲まれて走っていると、ルーテシアからは異国情緒を感じさせる独特の雰囲気をぷんぷんと感じた。他の外国車と違って珍しい存在だということも、“舶来感”が漂う理由だろう。日本の小型車がカッコ悪いとは言わないが、「見て良し」「乗って良し」のハンサムなコンパクトが欲しければ、単純にドライビングも楽しめるルーテシアはぜひ注目してほしい一台だ。
瀧カメラマンの撮影ワンポイントアドバイス
「流し撮り」
走行車をよりスピード感が増すように撮影するには、車の進行方向に向かって追いかけるようにカメラを動かしながらシャッターを切ります。ポイントはシャッター速度。車速が50キロなら50\1秒以下。30キロなら30\1秒以下にしないと止まってるようにしか写りません。レーシングカーなら200ミリ以上の望遠レンズで撮れば200\1秒でも流れて写ります。
焦点距離の長い望遠レンズで撮る時は手振れに注意。目安は焦点距離の半分以上と覚えると分かり易い。200ミリの望遠なら100\1秒。50ミリの標準タイプのレンズなら25\1秒以上のシャッター速度で切らないと手振れしないように撮るのは難しいです。
■主要諸元
サイズ:全長4095ミリ×全幅1750ミリ×全高1445ミリ
エンジン:ターボチャージャー付直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量:1.197リットル
最高出力:87kW(118ps)/5000rpm
最大トルク:205Nm(20.9kgm)/2000rpm
トランスミッション:6速EDC(エフィシエント・デュアル・クラッチ)
車両重量:1220キロ
駆動方式:前輪駆動(FF)
タイヤ:205/45R17
燃料消費率:17.4キロ/L(JC08モード)
定員:5名
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