夜間営業「ナイトプール」なぜ人気 若い女性にとって嬉しいことが…
「ナイトプール」と称して、昼だけでなく夜間も屋外プールを開放する高級シティーホテルの取り組みが話題を呼んでいる。首都圏では数年前からブレークしているが、大阪ではホテルニューオータニ大阪(大阪市中央区)が昨年初めて導入した。高級ホテルはお金に余裕のある中高年に客層が偏りがちだが、夏季のプールは気軽に立ち寄ることができ、ラグジュアリー感も楽しめるとあって若い女性にも人気という。関西ではこれからだが、ホテル各社は「ナイトプールは若者層を取り込むきっかけになり得る」と注目する。(田村慶子)
夜間なら日焼けの心配もなく、子供もいない
7月16日夕、ホテルニューオータニ大阪の屋外プールの夜間営業が今年もスタートした。大阪城公園と深緑が見渡せる絶好のロケーション。水着姿の女性たちでにぎわうプールに、広報担当者は「都会のリゾート気分に浸れる場所」とアピールする。
屋外プールを初めて夜間開放した昨年は、水曜日と日曜日の限定だったが今年は連日営業。開催日数も昨年の3倍の計57日間になった。昨年は、曜日限定ながらもプールにつながるホテル廊下にまで長蛇の列ができるほどの人気だったという。
高級ホテルの屋外プールの夜間営業を「ナイトプール」と呼び、首都圏で話題になり始めたのは5年ほど前だ。東日本大震災に伴う原発停止による電力不足から、始業時刻を1~2時間早める「サマータイム(夏時間)制」を導入する企業が増えたのがきっかけという。会社員が早く退社するようになり終業後の楽しみへ目が向けられるなかで、会社からアクセスの良いホテルのプールが注目されたというわけだ。
また、夜間ならば女性にとって“天敵”の日焼けの心配がなく、子供の遊泳が制限されている施設が多いため、「大人の空間を楽しめる」(都内ホテル)のも人気の理由だ。
ムードを高める照明効果などもあり、水着姿をより美しく写真に撮れることも大きな動機付けになっているようだ。昨年は有名女性タレントらがナイトプールで撮影した写真をインスタグラムなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に掲載。ホテルニューオータニ大阪でも、同様の写真を載せようと女性同士が互いにスマートフォンを向け合う姿がよく見られる。
光の演出、DJの繰り出す音楽…
先行する首都圏では、ホテルニューオータニ(東京都千代田区)のほか、京王プラザホテル(新宿区)、ANAインターコンチネンタルホテル東京(港区)のナイトプールが注目を集める。また品川プリンスホテル(港区)ではこの夏、ナイトプールについてファッション誌がプールサイドの装飾を監修するなど、異業種間のコラボレーションも始まった。
京王プラザホテルでは昨年、食事付きなどのプランの販売数が一昨年と比べ約2倍に増えたという。広報担当者は「数年前からナイトプールの利用が急増している」と説明。
今年はさらなる相乗効果を狙い、アンデルセン童話「人魚姫」をテーマにした料理や飲み物をレストランなどで楽しめるセットプランを6月25日にスタートし、「堅調な滑り出し」という。
こうした高級ホテルの利用客は中高年層に偏りがちだが、ナイトプールに限っては20~30代の若い女性が中心だ。
それに誘われるかのように最近は若い男性客も増えてきた。関西唯一のナイトプールを営業するホテルニューオータニ大阪では、照明やDJの音楽イベントを駆使し、ダンスを楽しむ「クラブ」のような雰囲気も演出、若者の関心を集めている。
東京を中心に盛り上がりを見せているナイトプールだが、関西でも今後、営業に乗り出す高級ホテルが出てくるかもしれない。
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