失敗重ねて、自分に自信を 映画「過ぐる日のやまねこ」 木下美咲さんインタビュー

2015.9.18 14:00

 初の長編監督作「くじらのまち」が第63回ベルリン国際映画祭で高い評価を受け、世界にその名を知られるようになった鶴岡慧子(けいこ、26)。待望の劇場デビュー作「過ぐる日のやまねこ」は、彼女の故郷、長野県上田市の山村を舞台に、大事な人を亡くした癒やしがたい喪失感とどう向き合えばいいのかを考察する青春映画だ。

 主演を務めた木下美咲(25)の役どころは、都会の生活に疲れ、着の身着のままで、ふらりと故郷に戻ってきた元ガールズバーの店員、時子だ。「タイトルにも『やまねこ』とありますが、脚本を読み進めるうちに、主人公はネコみたいな雰囲気を持つ人物との印象を強めました。比較的せりふも少なく、表情や仕草でみせる人物です。監督に相談したうえで、思い切ってネコを意識しながら演じてみることにしたんですよ」。苦労を重ねた役作りの一端を明かした。

 《ある夏の日、時子は、自分が8歳まで父親と暮らしていた上田市の山小屋で一人の少年と出会った。放置され空き家となっていたこの山小屋に勝手に上がり込み、学校の授業をサボって静かに絵を描く日々を送っていた高校生の陽平(泉澤祐希)だ。陽平は、父、正一(田中隆三)が営む材木店の従業員で、兄のように慕っていた和茂(植木祥平)が山で死体となって発見されて以来、周囲に心を閉ざすようになっていた。近くの山奥へ山猫を探しに出かけたまま帰らぬ人となった父を持つ時子は、陽平に親近感を抱き…》

 心の傷忘れていい

 ともに喪失感にさいなまれる時子と陽平は、山小屋でともに静かな時間を過ごし、言葉を交わすことで、少しずつ心が癒やされていく。木下の場合、心の傷や大失敗といった思い出したくもない過去に対しては、どうけじめをつけてきたのだろう。「『失敗を続けること』が大事だと思います。1回の失敗だけでは、ネガティブな気持ちに囚われてしまう危険性があります。でも、いくつも失敗すれば、1つぐらい成功も経験できるでしょう。失敗を重ねれば、自分に自信を持つことにもつながります。何かに挑戦しないことの方がもったいないですよ。失敗したときは一時的につらい思いをしても、後になって絶対に失敗から学べることがあるわけですからね」。念願の女優デビュー後、数々の修羅場を体験し、大きな役をつかんできた木下が自然に身につけた生き方でもある。

 鶴岡監督は正一の言葉を借りて「心の傷など忘れてもいいんだよ」とメッセージを送る。時子と陽平はまるで雷に打たれたかのようなショックを受けつつも、しっかりと受け止めた。「また東京でいろんな壁にぶつかるんでしょうけど、今度はきちんと人と関わって自分で解決できるようになるのではないでしょうか」。木下は映画に描かれていない時子のその後に思いをはせた。9月19日から全国順次公開。(高橋天地(たかくに)、写真も/SANKEI EXPRESS)

 ■きのした・みさき 1990年7月26日、大分県生まれ。2006年、アミューズお姫様王子様オーディションでグランプリに輝く。映画の出演作は、13年「共喰い」など。テレビでは、13年「小暮写眞館」(NHK BSプレミアム)など。舞台は、13年「ドーナツ博士とGO!GO!ピクニック」に出演した。

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