居酒屋チェーンを経営するワタミ子会社の正社員だった森美菜さん=当時(26)=が2008年に過労で自殺したのは会社の責任だとして、両親が損害賠償を求めた訴訟は8日、東京地裁(吉田徹裁判長)で和解協議があり、ワタミや創業者の渡辺美樹(みき)参院議員(56)=自民=らが計約1億3000万円を支払い、自殺は過労が原因と認めて謝罪することで和解が成立した。
和解内容には、ワタミが取り組む具体的な長時間労働の防止策も盛り込まれた。弁護団は「判決では実現できない成果も得られた。実質的な勝訴だ」と評価している。
このケースをきっかけに過酷な労働条件に注目が集まり、労働者を酷使する会社に対する「ブラック企業」との批判も広がった。
弁護団によると、ワタミは今後、研修や自宅でのリポート作成など、これまで業務とみなさなかったものも労働時間と認定。2008~12年度の新卒社員約800人全員に、過去分の残業代として一律に約2万5000円を支払う。