《60/70年安保闘争》でも、日米安保条約の条文も読んだことのない学生が「アンポ反対!」を流行病(はやりやまい)のように絶叫したが、背後関係はともかく、今次デモは表向き、病にも至らぬ「アンポ反対ごっこ」の様相を呈する。
お気楽さは、海外の学生運動と比べれば顕著だ。台湾では2014年、中国と調印した貿易協定に対し、中国の台湾併呑に危機感を抱く学生が決起し、立法院を占拠する《ひまわり運動》に発展。半年後香港では、中国共産党に圧倒的有利な選挙制度に反対する学生が核となり《雨傘革命》が決行された。
日本・台湾・香港のデモに共通するキーワードは中国でも、対中スタンスがまるで異なる。台湾・香港は中国支配を嫌う人々による「反中運動」的要素も含む。一方日本のデモは、わが国の領土・領海=資源奪取を狙う中国などに備え、安倍晋三政権が整備を目指す法律群を廃案にせんとするのだから、中国の侵略を手助けする「利中運動」に他ならぬ。法案に断固反対する外国が、中国と北朝鮮のみとの現実も利中運動の傍証だ。日本の左翼は中朝と共闘していることになる。