風景写真のでき具合は、撮影日の天候で決まってしまうと言ってもいいだろう。曇天で空が真っ白なら、諦めが先に立つ。いっそのこと雨が降っている方がいいときもある。かといって、雲一つない青空が広がっているのは、これまた変化に乏しい。さまざまな形の雲が浮かんでいる日は、それだけでうれしくなってヤル気も出てくる。どんどん形が変わる雲を見ていても飽きてこない。それを撮影していると、いつもかなりの枚数を撮ってしまうのだ。
ポッカリと浮かんだ雲に乗って、そこからのんびり写真を撮りたくなる。児童文学で石井桃子氏の「ノンちゃん雲に乗る」という名作があった。これは1951(昭和26)年だから、小生と同じ年の誕生だ。69年には「雲にのりたい」という曲を黛ジュンがヒットさせた。雲の上に寝転がって地上を眺めるのは、だれしも夢見ることだろう。しかし、仙人や●(=角の右に力)斗雲(きんとうん)に乗って飛び回る孫悟空にでもならない限りは不可能だ。