【大人の時間】
≪「道中」楽しみながら≫
レジャーの“王道”といえば釣り。釣りの道具はさまざまあるが、竹で作った日本伝統の和竿(わざお)で釣る味は格別という。江戸時代から続く和竿作りの老舗「銀座東作(とうさく)」(東京・浜松町)にお邪魔して、和竿作りの難しさや楽しさを聞いた。
店主の松本和彦さん(69)によると、松本さんの先祖が紀州・太地(現在の和歌山県)から江戸の浅草に出てきたのが1782(天明2)年。一本の竹竿が主流だった時代に、数本に切った竿をつなぐ「継ぎ竿」を開発し、江戸でも評判になって売れたという。
一時、銀座に移ったが、明治になって、兄が浅草で本家を継ぎ、弟(松本さんの祖父)は浜松町(大門)で独立して「銀座東作」を名乗った。
松本さんは初代から数えると6代目にあたる。しかし、技術を伝える書物はなく、すべて口伝で受け継がれてきた。