東芝の第三者委員会(委員長・上田広一元東京高検検事長)は20日、不適切会計問題の調査報告書を提出する。事業ごとの社内分社のチェック体制に甘さがあったことを厳しく指摘する見通しだ。これを受けて、証券取引等監視委員会も本格的に処分の検討に入り、一連の問題は大きな節目を迎える。
巨額の決算修正へ
東芝の不適切会計では、工事原価の過少見積りや費用計上の先送りなどにより、本業のもうけを示す営業利益が実態よりかさ上げされた。決算の修正が必要とされる2010年3月期~14年3月期の5年間の合計額は1600億円台となったもようだ。
このため東芝は、監査法人や監督当局とも協議し、8月にも15年3月期決算と過去の修正決算を発表する予定だ。かさ上げされた利益を減らすほか、事業そのものの収益力が落ちたとみなし、工場や設備の帳簿上の価値を引き下げる減損損失も計上する。
減額修正は総額で1000億円超となる恐れがある。5年間合計の東芝の営業利益は1兆円超だが、減損額はその2割以上に相当するため、投資家に与える影響は少なくない。