【本の話をしよう】
5ミリのクラゲから、50トンのクジラまで-。潜水歴40年の海洋写真家、吉野雄輔さん(61)が、今まで撮りためた20万枚以上の写真から375点を厳選したビジュアルブック『世界で一番美しい海のいきもの図鑑』。さまざまな生き物たちが、美しくも不思議なフォルムで、読者を海へと誘う。
隅までこだわり
吉野さんは日本を代表する海洋写真家の一人。これまでに世界80カ国の海に潜ってきた。「一つの集大成」と語る本書では、「形」「色」「発光」など計13のテーマごとに、海で出合った生き物たちを紹介する。「最初は好きな写真を並べただけだったけど、何十回も並べ替えるうちに、テーマがみえてきた。隅から隅まで、自分好みに仕上げたくて、紙の質感にもこだわってる。おかげで作るのに2年ぐらいかかっちゃったけど」と笑う。
青い光と漆黒のコントラストが印象的な書影に象徴されるように、本書では生き物の形が分かりやすい黒背景の写真を多く使用している。「青の世界に加えて、黒を背景に浮かび上がるさまざまな命の形を、ストレートに味わってほしい」と狙いを話す。