汚職事件に揺れる国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター会長(79)=スイス=が2日、突然辞意を表明した。5月29日の会長選挙で5選を果たし、改革に意欲を見せていた態度を一変させた背景には捜査の進展があるとの見方もある。招致で不正疑惑がささやかれてきた2022年ワールドカップ(W杯)の開催国がカタールから変更される可能性も出てきた。
朝までいつも通り
FIFA総会の会長選挙で、ブラッター氏は加盟209協会の投票で133票を集め「私が皆さんの会長だ」と高らかに宣言。翌30日の記者会見では米司法当局の捜査が自身に及ぶ可能性について「何の容疑で逮捕されると言うんだ」と言い放った。自信に満ちあふれた表情からは、自ら退く意思など全くうかがえなかった。
選挙からわずか4日。AP通信によると、側近の一人は、ブラッター氏が辞任を決断したのは表明の数時間前ではないかとみた。1日の昼食時はリラックスした様子で、2日朝の会議もいつも通りだったが、その後「米国から違う情報」が入り、それまでと雰囲気ががらりと変わったと証言した。2日夕の緊急記者会見は報道各社への案内が当初の開始予定時刻の約1時間半前。さらに開始が約45分遅れ、ドタバタぶりが伝わってきた。