青葉も日ごとに濃くなり初夏の日差しとなりました。蒸し暑い入梅前のこの季節、花もごてごてと飾らずすっきりと涼やかに生けたいものです。今回は美しい流れのでる利休草と、ツル植物の花であるクレマチスを主役にした、軽やかな花生けです。根じめにしたエンジ色のシャクヤクとクレマチスの紫色が呼応して涼しげなトーンです。
ツル性植物の女王
クレマチスは雪割り草やクリスマスローズなどと同じ仲間で、キンポウゲ科クレマチス属に入るツル性の植物です。クレマチス(Clematis)の名はギリシャ語のKlema(巻きひげ、つる)から学名がつけられました。ガーデンのツル植物として人気が高く「ツル性植物の女王」とも呼ばれています。
花言葉は「精神の美」「旅人の喜び」「策略」。英語では「旅人の楽しみ(Traveller’s joy)」、イタリア語では「ごま塩ひげ」、フランス語では「こじき草」といった呼び名もあります。こじき草の名は、クレマチスの葉には毒性があり昔、フランスの物乞いがクレマチスの葉をつぶして皮膚につけ、わざとただれさせて通行人の同情をひいたことにちなむといわれています。