東日本大震災の被災者が、全国各地で震災体験を語る活動を続けている。家族3人を亡くし、自宅を津波で流された宮城県石巻市のパート従業員、榊(さかき)美紗子さん(26)。3日夜には福岡市で講演し、出向いた先は5府県となった。語ることを「使命」と信じ、あの日の記憶と思いを伝えている。
家族3人亡くし一人に
「まちが火の海になり、満天の星の下を、火の粉が飛び交う光景は忘れられません。あの夜は星がたくさん輝いていて、まるで亡くなった方々の魂が、生き残った私たちを照らしてくれているかのようでした」
2011年3月11日、津波の後に火災が起きた石巻市門脇(かどのわき)地区の写真をスクリーンに映しながら、榊さんが語る。3日夜、福岡市博多区のホテル会場では、企業経営者らでつくる福岡県倫理法人会の会員362人が熱心に聞き入っていた。