宇宙で最初に生まれた星の観測を目指す世界最大の望遠鏡「TMT」が米ハワイ島のマウナケア山に建設されている。2022年3月の完成に向け、望遠鏡の要となる巨大な主鏡(直径約30メートル)を製造するのは相模原市の特殊ガラスメーカー「オハラ」だ。気温によって影響を受けるガラスの膨張を極力抑えた高い技術力が世界の注目を集めている。
136億光年の光
TMTは東京・国立天文台が米国、カナダ、中国、インドの4カ国と進める国際共同プロジェクト。136億光年も離れた遠くの天体から届いたかすかな光を集めるTMTの主鏡は1辺72センチの六角形の鏡492枚を組み合わせて作られる。オハラは2019年度までに予備を含めた特殊ガラス574枚を準備しなければならない。
主鏡用のガラスにとって最大の敵は気温の変化による膨張だ。ガラスがゆがむと正確に集光できず、画像が“ピンぼけ”となってしまう。そのために温度変化の影響を受けない「ゼロ膨張ガラス」は欠かせないが、製法が難しく、これまで米独の2社が事実上独占していた。