2014年の考古学界は、邪馬台国論争の鍵を握る三角縁神獣鏡や前方後円墳をめぐり、新発見が相次いだ。沖縄県と富山県では、日本人のルーツに迫る発見も。最古級の平仮名は和歌とされる新説も発表されるなど話題の多い1年だった。
三角縁鏡で「魔鏡」
年明け早々、列島を驚かせたのが「卑弥呼の鏡」とも呼ばれる三角縁神獣鏡の製作実験だ。京都国立博物館が最先端の3Dプリンター技術を使い、形や大きさ、金属組成まで実物そっくりに再現。磨き上げた鏡面に太陽光を当てると、壁にまばゆい光のリングが浮かび上がった。
鏡面にできた微細な凹凸によって裏面の文様が映し出される「魔鏡」現象で、三角縁鏡での確認は初めて。中国では紀元前から知られていたという。三角縁神獣鏡は倭国(日本)の女王卑弥呼が中国・魏の皇帝からもらった「銅鏡百枚」との説もあり、邪馬台国の謎に迫る重要な鍵。実験は製作地をめぐる論争に新たな視点を切り開いた。
最古の大型前方後円墳で「卑弥呼の墓」とも言われる奈良県桜井市の箸墓古墳(3世紀中ごろ~後半)。1876(明治9)年に墳丘を撮影した写真と原板が、宮内庁に保存されていることが明らかになった。日本で最古の古墳写真という。