佐渡島と聞いて野生復帰が試みられているトキや歴史遺産の金山などを思い浮かべる人も多いだろうが、伝統芸能や音楽に興味のある人がいの一番に挙げるのはプロの和太鼓打ち集団の「鼓童」に違いない。前身の「佐渡の國鬼太鼓座」を経て1981年に誕生した鼓童は国内外で数多くの公演をこなし、高い名声を博してきた。
その鼓童の活動の中で、演奏公演とともに重みを増してきているものがある。地域おこしや人づくりである。メンバーらが佐渡に移り住み、その地に根を張っていく中で、地域住民らと「共感、響働」しながら、徐々にその役割を担うようになった。1997年に鼓童文化財団を設立、人づくり、地域おこし、芸術文化の振興、国際交流の4つの柱で活動を行っている。
廃校を利用した合宿所で寝食を共にしながら、和太鼓をたたく実技や、農業実習などを通して、日本の伝統芸能や文化を学ぶ。不便だけれど豊かな自然に囲まれて生活する中で、国内外から訪れる人たちは互いに学びあい、アイデアを出し合って考え、何かを得て戻っていくようだ。