日本ではAKB48に代表される女性アイドルが人気だが、欧米では男性アイドルが空前の大ブームを巻き起こしている。2011年にデビューした英の5人組ワン・ダイレクション(1D)に続き、3月にデビューした豪出身のアイドル系ポップ・バンド4人組「ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー(5SOS)」の人気が爆発寸前だ。ロサンゼルスでは、11月5日に行われる単独ライブの先行発売チケットを求め、徹夜組を含む数千人の女性ファンが集結。発売日の26日朝には、メンバーたちがチケットを手渡しするサプライズに感激して号泣するファンの姿がテレビで流されるなど、ブームは過熱する一方だ。
「チケットを手に入れるために必要なら、私はいつまででも列に並ぶわ」
チケットの先行発売窓口で、11月5日のライブの公演場所でもあるロサンゼルス国際空港にほど近い室内競技場兼コンサート会場「ザ・フォーラム」で発売を待っていた女性ファンは米CBSニュースにこう答えた。
■1Dツアー前座も
収容人数1万7500人のこの会場は1967年の開設以来、ローリング・ストーンズやマドンナ、コールドプレイといった超大物が公演を行った殿堂として知られ、デビューからわずか4カ月の新人が単独で公演するのは極めて珍しい。
その5SOSは2011年、豪シドニーで、同じ中学校の同級生だったボーカル兼ギター奏者のルーク・ヘミングス(18)とベース奏者のカラム・フッド(18)、ギター奏者のマイケル・クリフォード(18)の3人に、フェイスブックで探し出したドラム奏者のアシュトン・アーウィン(20)を加えて結成。1Dやジャスティン・ビーバー(20)ら人気アイドルやバンドの楽曲のカバーをユーチューブに投稿すると、ルックスの良さと演奏技術の確かさでたちまち大人気になり、プロ契約に至った。
世界デビュー曲「シー・ルックス・ソー・パーフェクト」は71カ国のアイチューンズで1位に。バンド名を冠したデビューアルバムは豪などで6月27日、日本では今月16日、米では22日に発売されたが、豪など計6カ国でチャートの1位に輝いた。昨年と今年は1Dの世界ツアーの前座も務め、実績を積み重ねている。
■サプライズに号泣
そんな絶好調の彼らだけに、ザ・フォーラムには発売の16時間前から大勢の徹夜組の列ができ、一帯を埋め尽くす10代の女の子たちは、彼らのデビュー曲を合唱したりしながらチケットの発売を待っていた。
そこで飛び出したのが、ファンにとってすばらしいサプライズだった。チケットカウンターでこっそり待機していた4人のメンバーが突然、ファンの前に姿を現し、先着100人にチケットを直接手渡したのだ。メンバーたちが来ていることが分かると周辺は悲鳴と泣き声に包まれ、一気に騒然となった。
マイケルからチケットを受け取ったトリーナ・ユマーナさん(13)はAP通信に「あまりのことに圧倒されて、今は何もいえない」とハンカチを手に号泣。別のファンはCBSニュースに「チケットを受け取った時“愛してるよっ”って言ってくれたの。ホントに興奮したわ」と喜んだ。
CBSニュースは、1970年代にはメヌード、90年代から2000年代前半にはイン・シンクやバックストリート・ボーイズなど、男性アイドルグループのブームは周期的にやってくると説明。1Dから始まった今回のブームはこれから本格化すると分析している。