「テルアビブに来ています」
2月にイスラエルに出張取材した際に知り合った日本人実業家から数日前、メールが届いた。現地では、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスによるイスラエルへのロケット攻撃と、イスラエル軍によるガザへの空爆の応酬が日に日に激しさを増していた。
この知人によれば、「1日に1回は空襲警報が鳴り、空中でロケット弾が迎撃・破壊されるたびに花火のような音が聞こえる」とのことだが、防空壕(ごう)に避難する人々の様子は「消防訓練のようなのどかさ」で、「市内はいたって普通。ホテルも観光客で7割は埋まっている」のだという。
1948年の建国以来、イスラエルの生存権を容認しない敵対国や過激勢力に囲まれ、せめぎ合ってきた中で培われた国民的な「たくましさ」もあるだろう。同時に、この国の人々がロケット弾攻撃に涼しい態度でいられるのは、イスラエル軍が誇るミサイル防衛システム「アイアンドーム」による、「迎撃率90%以上」とされる“鉄壁”に近い防御のおかげでもある。