会話の妙手として知られ、軽妙な関西弁で繰り広げる主人公らの掛け合いにファンが多い。最も時間をかけて練り上げる部分であり、他の追随を許さない黒川作品の魅力でもある。エッセーの定番ネタ「よめはん」こと妻で日本画家の雅子さんには頭が上がらない。売れない時代も美術教師をしながら夫を支え、受賞作の装画も手がけた。「随分感謝しています。教師を辞めて勝手な仕事をしてきましたから」
デビューして30年余り。「運が強かったし、物書きとして恵まれていたと思う。受賞して何よりうれしいのは読者が増えて多くの人が読んでくれること」
新聞を隅から隅まで読み、リアルタイムで犯罪を描き出すセンスはピカイチ。次作はなんと「後妻業」だ。描く“ワル”には事欠かない。(山上直子/SANKEI EXPRESS)