第151回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が7月17日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は柴崎友香(ともか)さん(40)の「春の庭」(「文学界」6月号)に、直木賞は黒川博行さん(65)の「破門」(KADOKAWA)に決まった。
柴崎さんは候補4回目、黒川さんは候補6回目での受賞。どちらも円熟の技術が評価された。
柴崎さんは大阪市生まれ。受賞作はかつて写真集に収められた東京・世田谷の一軒家に憧れ、隣のアパートに引っ越してきた女性と、同じ棟に住む男性の交流を描いた。
選考委員の高樹(たかぎ)のぶ子さんは「時間の厚みが色彩と一緒に揺らめいている。これまでの候補作の中で一番完成度、成熟度が高かった」と評した。
直木賞の黒川さんは愛媛県生まれ。高校の美術教師を経て作家となり、サントリーミステリー大賞や日本推理作家協会賞を受けた。受賞作は、暴力団員と建設コンサルタントの男性コンビが、持ち逃げされた金を取り戻そうと奔走する物語。