「スター・ウォーズ」シリーズなど数々のSF作品に多大な影響を与えたチリ出身のアレハンドロ・ホドロフスキー監督(85)が、自伝的作品「リアリティのダンス」のPRで25年ぶりに来日し、都内で記者会見に臨んだ=写真。
新作を手がけたのは、実に23年ぶり。ホドロフスキー監督は「ずっと映画を撮らなかったのは何も語るべきことがなかったから。それだけです。私は金儲けのために映画を撮っているわけではありません」とユーモアたっぷりに答えた。
1920年代、軍事政権下にあったチリの田舎町。権威的な共産主義者である父親と、元オペラ歌手の母親に育てられた幼少期のホドロフスキー監督の暮らしぶりが、現実と空想が交錯した独特な映像とともにシュールに描かれている。これまでホドロフスキー監督は映画で他人の物語を紡(つむ)いできたが、今回は自分の人生に焦点を当てた。「ふと『人生以上に語るべきものはないのではないか』と考えるようになり、自分の人生そのものを語ることにしました。皆さんも経験したであろう、子供時代の苦しみや喜びを描こうと思ったのです」。
会見では、チリで過ごした幼少期に日本人が経営する理髪店に通っていたことも明かし、「そこで日本文化を知ることで感動がありました。そこから私の芸術観も変わっていきました。『リアリティのダンス』の作中では、日本文化の影響を見ていただけますよ」と指摘した。7月12日から全国順次公開。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS)