オーストラリア訪問中の安倍晋三首相(59)は7月8日午後(日本時間同)、豪連邦議会内でトニー・アボット首相(56)と会談し、経済連携協定(EPA)と防衛装備品移転に関する協定に署名した。首脳会談では、東シナ海や南シナ海への進出を強める中国についても議題となり、「法の支配」の実現に向け両国が一層の役割を果たしていくことを確認した。
安倍首相は会談で、集団的自衛権の行使を限定容認する憲法解釈変更の閣議決定について説明し、アボット首相は歓迎の意を示した。また、自衛隊と豪軍の共同運用・訓練を円滑にするための交渉を開始することや、日豪首脳の相互訪問の定例化も確認した。
安倍首相は会談後の共同記者会見で、中国を「国際的な規範を共有、順守しながらアジア太平洋地域の課題に建設的、協調的な役割を果たすことを強く期待する」と牽制(けんせい)。アボット首相も、中国が日本の集団的自衛権の閣議決定を歴史問題に絡めて批判していることを念頭に、「70年前の行動ではなく、今日の行動で判断されるべきだ」と歩調を合わせた。