人間の心の奥底にへばりついた憎悪をその作品を通してじっくりと見据えてきたポール・ハギス監督(61)の新作「サード・パーソン」は、パリ、ローマ、ニューヨークを舞台に男女3組の不安定な人間関係を交錯させながら、やがて個々の関係を1つの線でつなげ、思いがけない結末へと導く大人の恋愛ミステリー。SNAKEI EXPRESSの電話取材に応じたハギス監督は「そんな人間関係の設定などあり得ないと思う人もいるでしょう。ならば、実際に何が映画の中で起きているのかを、見る人に考えてもらいたかった。それが僕からのメッセージさ。ラブストーリーのふりをしながら、サスペンスに仕立て、謎を解くヒントを配していった。注意深く見てほしい」と、なかなか挑戦的だ。
パリの高級ホテルで執筆中のピュリツァー賞作家、マイケル(リーアム・ニーソン)と、愛人で作家志望のアンナ(オリビア・ワイルド)。ローマでは、米国人の会社員、スコット(エイドリアン・ブロディ)と、バーで知り合った美女、モニカ(モラン・アティアス)。そしてニューヨーク。息子の親権を争い、裁判費用を工面するためメイドとして働く元女優のジュリア(ミラ・クニス)と、元夫のリック(ジェームズ・フランコ)-。どの男女も個性的な背景を持ち、一見なんのつながりもなさそうだが…。