サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会は第8日の19日、ナタルなどで1次リーグ3試合が行われ、C組でともに初戦を落とした日本とギリシャの第2戦は0-0で引き分けに終わった。日本は勝ち点1を挙げて決勝トーナメント進出(ベスト16入り)に望みをつないだが、24日(日本時間25日)の1次リーグ最終戦で、すでに決勝トーナメント進出を決めたコロンビアに勝つことが16強入りへの最低条件。あとは同じ時間に行われるギリシャ-コートジボワール戦の結果次第で、自力突破はなくなったが、まだ終幕ではない。最後の最後まで諦めずに戦い抜き、ゴールラッシュを期せ!
日本は逆転負けを喫した14日のコートジボワール戦から先発メンバーを2人入れ替えて、勝負の一戦に臨んだ。攻撃的な選手では、初戦で効果的なプレーができなかった香川真司(25)が外れ、大久保嘉人(32)が先発出場。中盤の両サイドは主に右でプレーすることが多かった岡崎慎司(28)が左に移り、大久保は右に入った。吉田麻也(25)と組むセンターバックには初戦の森重真人(26)に代わり、今野泰幸(31)が起用された。
■シュート16本も…
日本はスタートから動きが快調。効果的なシュートこそ少なかったが、ボールを支配し、前半38分には主将の長谷部誠(30)がカツラニス(34)の2度目の警告プレーを誘発してカツラニスは退場。日本は11対10の数的優位に立った。
しかし、日本にとって、これが幸運に見えて不運な展開だった。プレーオフを含めた欧州予選12試合でわずか6失点の堅守が強みのギリシャが、守備を固める覚悟を決めてしまったからだ。前の試合でコートジボワールがコロンビアに敗れ、ギリシャは引き分けや負けでも決勝トーナメント進出の可能性が残る状況になり、守備を一段と厚くして引き分け狙いに舵を切った。ギリシャも「勝ち」にくると考え、前掛かりになる相手の隙を突こうと狙った日本の思惑は外れた。
ボール保持率で68%対32%とギリシャを圧倒し、16本のシュートを浴びせながら0点に終わったことについてアルベルト・ザッケローニ監督(61)は「日本の長所であるはずの素早さが、まだ足りない。ゴール前での(攻撃の)アイデアも欠けていた」と唇をかんだ。何度もクロスを上げ続けた長友佑都(27)も「少しの運があれば決まっていた部分もあったが、それを引き寄せられなかった」と嘆いた。
■W杯経験値は上
だが、過ぎたことを嘆いても始まらない。次戦のコロンビアに勝つ以外に活路は開けない。コロンビアは世界ランキング8位の強豪だが、決して恐れる必要はない。W杯での過去最高はベスト16が1回あるだけで、日本(ベスト16が2回)の方がW杯経験値は上だ。吉田は「次は自分たちのサッカーができなくても、泥くさく全身全霊でやる。体を投げ出してでも球にアプローチする」と語気を強め、内田篤人(26)は「今までやってきたことが報われないとしても、それをピッチに置いてこなければいけない」と決意を新たにした。
その意気だ。条件は厳しいが、まだ可能性はある。