6月12日(日本時間13日)に行われたサッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会の開幕戦で快勝したブラジル代表FWとして先発出場したフッキ(27)は、J2札幌での1年間の経験を糧に変貌、成長を遂げた。当時を知る関係者は「札幌が彼の転換点。クラブの自慢だ」と胸を張る。
札幌の三上大勝(みかみ・ひろかつ)ゼネラルマネジャー(GM)は2004年ごろ、ブラジル北部の街で初めてフッキを見た。「強くて速くてうまい」。一目でほれ込んだ。資金面から手を出せなかったが、06年、前年にフッキを獲得していたJ1川崎が期限付き移籍を検討していると聞き、すぐに手を挙げた。
フッキは当時19歳。精神的に未熟で、誰もがピカ一と認める能力を十分に発揮できずにいた。思う通りにプレーできないと練習を放棄することも。試合では審判への抗議による警告を繰り返し受け、不満を爆発させて監督と小競り合いすることすらあった。
札幌の鈴木ウリセス通訳は「普段はもの静か。負けたくない気持ちが強過ぎるだけ」と振り返る。三上GMもその性格を理解していたが、「ブラジル代表に入る選手になれるかは今、決まる」と粘り強く対話を重ねた。