その拠点となるのが「カラフルステーション」だ。1階はアジアン料理を楽しめるカフェレストラン「irodori」、2階は多目的スペースとしても活用できるシェアオフィスになっている。
自分をオープンに
LGBTをカムアウトするかしないかは本人しだい。ただその選択が自由に自分らしくできる社会でなくてはならない。文野さんは「セクシュアリティーに関係なく、仕事でも自信をつけることが大切」と考えている。けれども現実は、周囲に自分のことをオープンにできないストレスなどで、職を転々とする人もいる。特にトランスジェンダー(性同一性障害者)の場合、手術、それにかかる費用、戸籍変更などといった壁が立ちはだかり、なかなか定職につけない人も多いのだという。
文野さんは初対面の人に、「杉山文野です。元女子校生です」と自己紹介をする。立派なヒゲをたくわえ、どこから見ても男性である「彼」の挨拶にたいていの人は目をまん丸くして文野さんをまじまじと見つめる。