滋賀県甲賀市にある福祉作業所「やまなみ工房」の施設長、山下完和さんと社会活動ユニット「PR-y」のクリエイティブディレクター、笠谷圭見さん。写真集「DISTORTION」やファッションブランド「NUDE:PR-y」などで異色のコラボレーションを展開してきた2人が目指すものとは…。
一般社団法人Get in touch理事長、東ちづるが迫る。
やりたいことできる環境
山下さんは面白い。くるくるの長髪に過激なファッション。まるでロッカーのような風貌から“障害者が通う作業所の施設長”という職業が想像できない。前職はバーテンダー。それまでもトラック運転手など20以上の職を転々としてきた。知人の忘れ物を届けるため、やまなみ工房を訪れたのが縁で職員となり、26年になるという。勤め始めた頃、施設は単価10円に満たない町工場の下請け作業をしていた。そんなある日、落ちていた紙に落書きをしていた人がいた。そのときの彼の楽しそうな表情に、山下さんは衝撃を受ける。「彼らが本当にやりたいことをできる環境を作ることが僕らの仕事」と気づき、下請け作業をやめた。