第67回カンヌ国際映画祭の授賞式が5月24日夜、南仏カンヌで開かれ、コンペティション部門の最高賞パルムドールに、心が離れた若い妻や離婚の痛手を抱えた妹とぶつかる元俳優の姿を丹念に描いたトルコのヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督(55)の大作「ウィンター・スリープ」が選ばれた。審査員賞に、才気あふれるカナダの若手、グザヴィエ・ドラン監督(25)の作品が選ばれるなど、世界各地からさまざまな世代の監督や俳優たちが一堂に集まった祭典は華やかに幕を閉じた。
5時間超でもいい
「ウィンター・スリープ」は、トルコ中部アナトリア地方にある世界遺産の奇勝カッパドキアを舞台に、小さなホテルを経営する元俳優が、疎遠になってきた若い妻や離婚で傷ついている妹との溝に苦しむ様子を3時間16分にわたって描いた。女性初の審査委員長を務めたニュージーランドのジェーン・カンピオン監督(60)は「美しいリズムがあって、あと2時間くらい見ていたいくらいだった」と長尺の作品を評価した。
受賞後の記者会見で、作品の長さについて質問されたジェイラン監督は「妻と書いた脚本は2倍の長さだった。撮影したら4時間半になってしまったので、懸命に編集した」と話した。そのうえで、トルコで昨年(2013年)起きた反政府運動に触れ、「犠牲になった若い人たちに、この賞をささげたい」と述べた。